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[MEDIA RELEASE #3] DOG inThePWO主催 FREE LIVE「大感謝祭2024」OFFICIAL LIVE REPORT

2024.04.21

DOG inThePWO主催 FREE LIVE「大感謝祭2024」
2024.3.13 (WED) 新宿BLAZE

Writer:Ayako Hirai

3月13日に新宿BLAZEにて行われたフリーライブ「大感謝祭2024」から一か月、さらに2月18日に行った復活ライブからは早くも二か月が経った。
3月1日にはPREMIUM LIVE「CERBERUS」と題して西荻BETTYROOMのこけら落とし公演も担当し、とにかく怒涛のスケジュールの中で活動しているDOG inTheパラレルワールドオーケストラ。
以降も、BugLug 、我が為とのスリーマンライブ「三國無双」やワンマンツアー「-20092024-」と、その日々は続いていく。
これらはすべて、「楽しんでほしい」という純粋な気持ちがこもったDOGからのプレゼントでもあり、もっとメンバーの胸中にフォーカスすると、「意地でも止まるまい」といわんばかりの強い意思の表れとも感じられる。
それは決して虚勢ではなく、本来メンバーの中に存在している、バンドに対する真剣な気持ちが原動力となっていることゆえの、自然現象でもあるのだろう。

この日の出演者は、DOGはもちろん、「魔会倶楽部」「櫻井 春」「緩菜百烈撃スペシャルバンド」「Noёl.Orchestra」が並び、しかもフリーライブという豪華すぎる内容だった。
この大盤振舞いについ意識が向いてしまうが、考えてもみてほしい。
メインバンドと並んで、メンバーが各々行っている音楽活動名が出演者欄を占めるライブなんて他にあるだろうか?
そのどれもが個性的なエンターテインメントとして成り立っていて、なおかつDOGが活動休止中に行っていたソロワークを踏まえての集大成ともいえるライブ。
こういったところからも、限りなくメンバーの力を軸に駆動していることが分かる、今のDOGのスタンスがもうすでにカッコイイ。

 

 

トップバッターは準々…ではなく、ヴォーカリスト・ジグル(読:しぐれ)様が10年ぶりの再降臨によって実現した「魔会倶楽部」のステージ。
「僕の出し物は世界観が大事」と、“出し物”という部分に若干ツッコミを入れたくなりながらも、顔に“呪”の文字を刻んで(この日は感謝祭に因んで“祝”の文字であった)、”ザ・ヴィジュアル系”とも言うべき暗黒な世界観のもとで独断場を繰り広げていく。
かつて消費税アップの際にお気に入りのラーメンが便乗値上げしたことに対する怒りを“ラーメン”と“オーメン”に掛けた「罪深き現世の真実と絶望により生まれたラーメン屋への文句」と、曲を“流し”ながら披露した「生殺し」では、フロアにヘッドバンギングの嵐を起こさせて(起こすよう懇願して)、「魔会俱楽部」に対する支持の大きさを知らしめた。
20分の出演時間中の8割を流暢なトークで沸かせ、タイムアップを告げる幕が閉まりながらも話を止めずに「来世で会おう」のキメ台詞まで人目を奪い続けたジグル様にはもう、感服である。

 

 

続いて「櫻井 春」のターンでは、ゆっくりとステージに登場した春が丁寧にお辞儀をすると、「みなさん初めまして、櫻井 春です。“スプリング・イン・ザ・ヘル”というプロジェクト、始めます」と挨拶を兼ねて、自身のソロ・プロジェクト始動を発表した。
「俺の友だち、仲良くしてあげてね」と紹介したこの日のメンバーは、Pf.青(セイ) / Ba.パンチ丸 / Dr.Nosukeと、「俺の音楽の先生」と付け加えたGt.Murakuni。
DOGの楽曲から2曲、より浮遊感を増した「jerryfishが溺れてる」とスウィングリズムを強調して一層艶めかしさを帯びた「おままごと」を含みつつ、「今日のために2曲持ってきました」とオリジナル曲も披露した。
「BED」は、夜や深海のように光の届かない静けさを纏った空気を感じさせ、ラストには「改めて歌を歌う決意みたいなことを曲にした」と話し、ソロで初めて作った曲だという「さくらの詩(うた)」を届けた。
産声を上げた“スプリング・イン・ザ・ヘル”の名のもとに、美しい旋律に乗せて耳に届く言葉はとてもナイーヴなもの。
事前に「明るくて楽しい感じではないです」と春がSNSで触れていた通りの雰囲気ではあるものの、それがとても人間的で、まるでこの日メンバー全員がお揃いで着用していた真っ赤な衣装が血潮を表しているようにも感じられるほどだった。

 

 

この日一番の大所帯となったのが、次に登場した「緩菜百烈撃スペシャルバンド」だった。
DOGの活動休止中、緩菜はサポートドラムを務めた4バンドが一堂に会すイベント「緩菜百烈撃」を定期的に行っており、スペシャルバンドには各バンドから代表メンバーが参加(ミケ[我が為] / RYO[KING] / 楓[KiD] / 公佑[SPLENDID GOD GIRAFFE] / TACC[SPLENDID GOD GIRAFFE] / 吉田雅[support我が為])。
各バンドの楽曲を1曲ずつ披露していき、「DIRTY HONEY」(SPLENDID GOD GIRAFFE)のハードかつキャッチーなロックサウンドで勢いづくと、「ほぞを噛む」(KiD)の繊細さを内包したポップなサウンドにシフトしてもなお、観客を見事に乗せていく。
そして、ここで緩菜百烈撃スペシャルバンドのオリジナル曲「百烈-HYAKURETU-」が世界初披露されたのも嬉しいサプライズとなった。
緩菜が作曲した楽曲に、「伝説を刻め」という歌い出しが印象的な気合いの入った歌詞をミケがつけ、公佑が編曲したというキャッチーでロックテイストの楽曲。
ラストスパートは王道なロックサウンドで一体感を帯びた「NANANA」(KING)と、強いアタックで自己主張を放った「自問他答NIPPON」(我が為)で勢いよく駆け抜けた。
「緩菜百烈撃」でお馴染みのバンドたちのスタイルは多種多様で、もちろん楽曲も幅広い。
それをオールマイティにプレイし、どのバンドにも変幻自在に馴染んでいける緩菜の強みがあってこそ成せる業だ。
最後は、KINGのライブでのラストに恒例となっている、「Don’t Look Back In Anger」(Oasis)に合わせて全員で手をスイングする情景が広がったが、RYOが言うように「緩菜が繋いでくれた縁」で繋がった、メンバーによる結束を強く感じさせるステージだった。

 

 

次に、メイ率いる「Noël.Orchestra」が登場。
彼もまた、DOGの活動休止中に「Noёl.」という自己表現のためのプロジェクトを始動させた。
最初はオリジナルアパレルブランドを立ち上げ、最終的に音楽活動へと派生させた際に生まれたのが「Noël.Orchestra」である。
ここには、Dr.輝喜(アンティック-珈琲店-)、Gt.mag、そしてミズキ(DOG inThePWO)という、“メイが安心できる可愛い(と思う)メンバー”が心強いサポーターとして加わっており、ファンタジックな世界観でメイの深層心理が覗ける場を生み出している。
さらにこの日はメイの誕生日当日だったことから、メイBD LIVE Noël.Orchestra特別公演「君の涙と雪の溶ける速度。-SnowMotion-」と題した時間となり、幻想的なSE「Natalis in The Closet.」に続いて、「Noël.」というプロジェクトのテーマソングともいえるインストゥルメンタル曲「Stella Maris.」を披露。
MCでは輝喜から「お誕生日おめでとう」という言葉が贈られ、magが白いバラをひざまずいて渡す場面も。
さらに、「チヨコレイトモンスター」「スノゥモーション」とDOGの曲をNoël.Orchestraバージョンで聴かせ、ラストの「魚座流星群の夜に。」では、メイが“歌う”覚悟した想いと共に大切に届けていた。
「歌って欲しい人はやっぱり一人だと思って、それならば自分が歌うしかないと決めた」と話し、彼にとって無敵状態でいられるDOGというバンドの存在の大きさを痛感し、そこから一度離れてみたからこそ分かったことや挑戦できたことがあった。
そのモーションを堂々と披露し、母体となるDOGへと繋いだことはとても意味のあることに感じられた。

 

 

そしてラストは、DOG inTheパラレルワールドオーケストラ。
ここまでメンバー個々のパワープレイを受け継いでの、まさに真打登場である。
「ハルシオンキャンディ」が一瞬で観客の心を掴み、春の挑発的な姿勢がよりフロアの熱を焚きつけていくなか、間髪入れずに「遊郭ディスコ」へと、シンプルにテンションをぶち上げる展開を畳み掛ける。
ネオンにまみれた歌舞伎町の雰囲気に寄せた「と或る夜想」や「many many Daily」で溢れる好きという気持ち、そして「『夢咲ヶ丘』と『大感謝祭』の成功を祝して!」という合図で“乾杯”を交わした「ALCOHOL」。
ラストの「JOY TO THE WORLD」では、「みんなはどうだ?」と前置きして歌い出し、シンガロングも含めて最後まで大切に歌い上げられる様子は、最初に前置きした問いかけに「自分たちは充実している」と答えているようでもあった。

「JOY TO THE WORLD」の演奏前、春は今のバンドの状況をこう話していた。
「久々の全国ツアーに向かって、DOGは今、猛烈に頑張っています。
明日の準備が今日終わってないみたいな、12月25日に告知してからメンバーみんなずっとそんな感じなんだけど--
でもなんか、“生きてるな”というか、“バンドをやってるな”っていう気持ちで、5人熱い気持ちで頑張っているところです。
それがきっと笑顔になって、花が咲くのがツアーだったらいいなと思っています」
楽しむためにやる、もちろんそれも大事だけれど、やっと動き出せたからこそ今のDOGは、バンドをやっている意味、そこで自分たちが生きている意味を実感したいのかもしれない。
DOGが活動休止をしていた一年間、5人はそれぞれの視点や方法でバンドに対して思考を巡らせながら、その時間を無駄にするまいとパワーアップしてきた。
そんなメンバーが集まった時に発揮する力は凄まじいということを証明した「大感謝祭」で、5月から始まるLIVEHOUSE TOUR24「-20092024-」への扉は確実に開かれたと言えよう。

 

 

▼セットリスト
[魔会倶楽部]
01. 罪深き現世の真実と絶望により生まれたラーメン屋への文句
02. 生殺し

[櫻井 春 / スプリング・イン・ザ・ヘル]
01. jerryfishが溺れてる (DOG inThePWO cover)
02. BED
03. おままごと (DOG inThePWO cover)
04. さくらの詩(うた)

[緩菜百裂撃スペシャルバンド]
01. DIRTY HONEY (SPLENDID GOD GIRAFFE)
02. ほぞを噛む (KiD)
03. 百烈-HYAKURETU-
04. NANANA (KING)
05. 自問他答NIPPON (我が為)

[Noёl.Orchestra]
メイBD LIVE Noël.Orchestra特別公演「君の涙と雪の溶ける速度。-SnowMotion-」
SE. Natalis in The Closet.
01. Stella Maris.
02. チヨコレイトモンスター – Noёl.Orchestra Ver.-
03. スノゥモーション – Noёl.Orchestra Ver.-
04. 魚座流星群の夜に。

[DOG inTheパラレルワールドオーケストラ]
SE. 断崖式DDT
01. ハルシオンキャンディ
02. 遊郭ディスコ
03. と或る夜想
04. many many Daily
05. ALCOHOL
06. JOY TO THE WORLD
End SE. Hot Lemonade

 

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